加速するブログ市長離れ 阿久根市役所周辺は厳戒態勢(産経新聞)

 市議の不人気アンケートや1円単位での市職員全員の給与一覧を掲載した鹿児島県阿久根市長のブログが再び“炎上”している。市議会や公務員の厚遇批判で「ネット世論」の喝采(かっさい)を浴びた市長だが、障害者への差別ともとれる書き込みでは全国からの激しい非難にさらされ、窮地に立たされているのだ。反市長派との泥仕合を制した出直し市長選から7カ月。障害者団体のほか、右翼団体の街宣車も集結した地元は厳戒態勢の中にあり、支持者たちの市長離れも加速しているという。(花房壮)

  [フォト] 竹原市長、抗議受け「目が見えない人は何と呼べばいいの」と話す一幕も

 ■静かな町にある日、街宣車が…

 12月21、22の両日。阿久根市役所周辺は朝から緊迫感に包まれていた。

 正面玄関以外の出入り口が施錠された庁舎内外には警察官が立ち並び、駐車場の出入り口も不審車両の進入を防ぐため1カ所に制限されていた。

 「竹原信一市長への抗議のため九州各地から右翼団体の街宣車7、8台が集まり、その警戒でものものしかった」

 地元市議はそのときの様子を振り返る。

 市役所周辺は厳戒態勢で、庁舎にも『住民票等窓口以外のご利用はご遠慮ください』という市長名の張り紙もあり、来訪者もいつもより少なかったという。市長も警護上、登庁を見送るという異常事態だったのだ。

 静かな漁村に街宣車の一団が押しかけた原因は、竹原市長のブログ「阿久根時事報」の内容にあったとされる。

 《高度医療のおかげで以前は自然に淘汰(とうた)された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果、養護施設に行く子供が増えてしまった》

 《『生まれることは喜びで、死は忌むべきこと』というのは間違いだ》

 《センチメンタリズムで社会を作る責任を果たすことはできない》

 こうした書き込みが記されたのは11月8日付のブログだった。医師不足対策を論じる中で、高度医療に対する考え方や自らの死生観を吐露したようだ。

 障害者への差別ともとれる書き込みに対し、右翼団体側は、竹原市長が市議時代に自らのブログにつづった天皇制批判とあわせて、謝罪を要求する街宣活動を行ったのだ。

 12月市議会でも市議が障害者をめぐる書き込みを取り上げ、議会としても謝罪を求める決議を賛成多数で可決した。

 さらに、鹿児島県議会も竹原市長に関係者への謝罪を求める決議を可決するなど、問題は拡大の一途をたどっている。

 「市町村の問題について、県議会が決議をとるのは異例。県全体のイメージダウンにつながるとの危機感が県議会にもあったのではないか」と市議会関係者は口にした。

 実際に、問題となった竹原市長のブログ内容は、全国の障害者団体から猛抗議を受け、「団体の中には鹿児島県産品の不買運動を検討したところもあったようだ」(関係者)という。

 ■「謝罪はしない」「不信任を出せ」

 抗議の電話が殺到した市役所では、「仕事に手がつかない状態が続いている」(議会関係者)というが、渦中にある竹原市長の対応はどうか。

 問題の書き込みが行われた翌11月9日付のブログでは、発言を批判するメールを紹介した上で、《慎重さを欠く見解に見えたかもしれない》としたが、謝罪の言葉はなかった。

 12月市議会での一般質問に対しても、「差別というのは誤解。謝罪はしない」と答弁し、頑なな姿勢をみせた。

 障害者に関する書き込みは現在《修正中》となっているが、考え方に変化はなさそうだ。

 今月中旬に福岡市の信用調査会社が主催した会社経営者らへの講演会で、市長は「社会づくりは木を育てるようにしなきゃならない。枝の先が腐ってきたら切り落とさないかん」と強調。講演後、報道陣から障害者をめぐる書き込みとの関連性を追及される一幕もあったが、市長は「分からない人には答えない」と話した。

 市長のこうした対応について、地元の市議はクギを刺した。

 「さまざまな思想を持つのは本人の自由だと思うが、それが一度、ブログなどで表明されると、傷つく人もいるということを知ってほしい」

 その上で、こうも指摘する。

 「以前から周囲のアドバイスに耳を貸さなかったが、最近は特にその傾向が悪化している。今回の騒動については市長自体も問題の予想以上の広がりに驚いているのではないか」

 事態が収拾しないことに焦りを感じているのか、12月市議会では辞任を迫る市議に対し、「(市長の)不信任を出してください」と、挑発とも自暴自棄ともとれる言葉が議場に響いた。

 ■「裁判所は人事を論じる資格なし」

 阿久根市が抱える火種は市長のブログへの書き込みだけではない。

 クリスマスの25日午前10時。鹿児島地裁の法廷に竹原市長の姿があった。

 市庁舎内で各課の人件費総額を記した紙をはがしたとして懲戒免職処分になった元市係長の男性(45)が、「処分は裁量権の乱用で違法」と市に取り消しを求めた訴訟の第2回口頭弁論が開かれていた。

 市議会で弁護士費用を否決されたため、市長本人が出廷したのだ。

 市長は準備書面で、「人事は首長の専権事項であり、円滑な行政に必要として行われた以上、適法」と主張。その上で、「裁判所は首長と対等の立場から人事の適否を論じる資格を持たない」などとした。司法機関への“宣戦布告”ともとれるものだった。

 市長は平成21年春の出直し市議選や出直し市長選を通じて、市職員の高給を攻撃対象に掲げ、1円単位での職員給与一覧を市のホームーページや自らのブログでも閲覧できるようにした。一般住民の年収レベルを大幅に上回る市職員の高給ぶりは市民の反発感情に火をつけ、市長派議員の増加と市長の支持基盤拡大に貢献したのだ。

 人件費総額のビラは選挙後も庁舎内に張られていたが、何者かによって、はがされるという“事件”が起きた。後で名乗り出たのが元係長だったのである。「職場環境の正常化を図る」というのが理由だったが、市長は7月末、この元係長を懲戒免職処分にしたのだ。

 ただ、元係長は地裁に処分の効力停止を求め、10月21日に処分の執行停止が決定された。市側の即時抗告も福岡高裁宮崎支部によって棄却されたのだ。

 市長による免職処分が司法によって“やりすぎ”と認定された格好だが、市側は地裁決定後も「市長の指示がない」として元係長の職場復帰を認めず、賃金やボーナスも支払っていない。

 職員との“闘争”では、市長もブログ上で批判を展開している。

 例えば、11月24日付のブログはこうだ−。

 《公務員の中には年休取り放題。飲みすぎた朝に電話で連絡、代わりの職員が年休届けをする。好き放題で休みをとっているのが結構居るようだ》

 《阿久根市役所にも居るらしい。急に休んで申し訳ないとも思わない。こんなふざけた連中を組合が支えるのだ》

 こうした書き込みについて、地元の市議は「確かに、市職員にも緩んでいるところはあるのかもしれないが、だからといって、裁判所の決定を無視してよいわけではない。市長もちょっと慎重さに欠けている」と漏らす。

 5月の出直し市長選で市長を支持した地元の会社員は「市長選のころは、言動は確かに過激だったが、任期がまだ1年未満と短く、財政改革にどこまで切り込めるかもう少し見てみたいという感じで支持した」と述べた上で、こう続けた。

 「ただ、今の市長のやり方では市職員との摩擦が大きくなるだけ。やっぱり市長を変えるしかないのかも…」

 地元では市長に対するリコール運動も起き始めているといい、わずか半年の間で竹原市長を取り巻く環境は厳しくなったようだ。

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